新潟知事選、争点は原発再稼働かポスト米山の行方は(横田一)

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6月上旬投開票の新潟県知事選挙が、世界最大級の東京電力「柏崎刈羽原発」再稼働を左右するだけでなく、安倍政権の命運をかけた与野党激突の天下分け目の決戦になる様相を呈し始めた。
「『買春』女子大生の告白」と銘打った『週刊文春』4月26日号の発売前日(18日)に辞任表明をした米山隆一・新潟県知事のイメージダウンは支援した野党陣営に痛手だが、県政奪還を目指す安倍自民党も内閣支持率大幅減の逆風にさらされている。「前回と同様、原発再稼働が争点になり、安倍政権の審判も問う国政選挙並の注目選挙となれば、野党統一候補の勝機は十分にある」(地元記者)。
原発ゼロ基本法案を提出したばかりの立憲民主党の枝野幸男代表は21日、「原発問題を最大の争点にしなければならない選挙」、「考え方の共通する皆さんと候補者を1人にしぼって取りに行きたい」と野党統一候補擁立に前向きの姿勢を示した。民進党の大塚耕平代表も19日の会見で、新潟県知事選について「野党統一候補が擁立できれば、望ましい」と答えた。
永田町ウォッチャーはこう話す。「1年半前の新潟県知事選と同じように自公推薦候補が今回も敗れれば、『安倍首相では来年の統一地方選や参院選は戦えない』という声が党内で強まり、総裁選3選は絶望的になる。『地方票で先行されている石破茂氏に勝てない』と観念した安倍首相が通常国会中に岸田文雄政調会長を後継指名、影響力を維持しようとする可能性が高まります。会期中であれば、国会議員だけで次期総裁を決めることができる規定があるからで、『秋の総裁選でも禅譲した岸田首相が石破氏に勝つ』ということが前提の“禅譲路線”と言えます」。
一方、野党系候補が敗れれば、安倍首相の総裁選3選の芽が残る上に、一連の不祥事の禊を狙った「やけくそ解散」(大塚代表)に出る可能性が高まってくる。安倍政権存続のためなら手段を選ばないというわけだ。
今回の県知事選でも自民党は、名護市長選と同様、得意の争点隠し選挙で臨んでくるのは確実だ。すでに自民党県連は「県民党」を掲げて政党色を薄める方針を決定、元同県副知事で海上保安庁の花角英世次長を擁立しようとしている。
【古賀茂明氏待望論も】
女性問題が発端の県知事選であることから、「夫が不倫で議員辞職をした金子恵美・前衆院議員が出馬、『私も女性問題で苦しみました』と訴えるといい」と擁立論も地元記者の間で囁かれたが、「地元県議が総スカン状態で去年の総選挙で落選したことから勝ち目はないと見なされた。新潟市長選に保守系2人が名乗りを上げて一本化調整中のため、その1人の中原八一・前参院議員を県知事選候補にしようという案も出ましたが、『政党色を薄める』という方針に合わないため、本命視はされていない」(地元記者)。
これに対して、前回の県知事選で野党と連携した市民連合関係者からは、元改革派経産官僚の古賀茂明氏待望論が浮上していた。
「米山さんの応援演説にいち早く駆けつけた古賀さんに期待する声が出ています。泉田裕彦前知事をモデルにした小説『原発ホワイトアウト』の著者である現役霞ヶ関官僚の方も、前回の県知事選で候補者決定寸前まで行き、当時は固辞した古賀氏も後押しをしたので可能性があります」
20日、都内での講演を終えた古賀氏に地元の待望論を伝えると、「光栄です」と答えた。
前回の県知事選で選対本部長を務めた森ゆうこ参院議員に期待する声もあるが、「森友・加計など安倍政権の疑惑追及の急先鋒である森氏が国会から抜ける損失は大きすぎる」(永田町ウォッチャー)。
今後は、古賀氏や現役霞ヶ関官僚を軸に候補者選定が進みそうだ。“原子力ムラ内閣”こと安倍政権に「原発再稼働反対」の民意を突きつけた米山知事は1年半で県庁から去ることになったが、新潟県知事選でその路線が継承されるのか、そして「安倍政権ノー」の民意を示すことができるのかが注目される。新潟から目が離せない。
(横田一・ジャーナリスト、2018年4月27日号)

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